小説『ヤマモリモナコGP』14

ヤマモリモナコと「Ega-Child」~後編~

練習がひと段落したようなので、1人にちょっと話し掛けてみた。
「いつもここで踊ってらっしゃるんですか?」
「あ、はい。」
「そうです。」
2人がこちらを見て答えてくれた。
「ダンサーなんですか?」
「いえ、近くにあるダンス教室の生徒ッス。」
あ、なるほどね。
「『Ega-Child』って云うチームのメンバーなんですよ。」
「夢はプロデビューなんスけどね。」
「考える事が小さいよ。夢は世界ッス。」
夢だけはデカいらしい。
でも、話してみると明るくて気さくな人達だ。
「以前より人が減ったような気がするんだけど。」
「最近結構メンバーが抜けちゃったんですよ。」
「まあ、ダンスだけで食べて行くの難しいからね。」
「結婚したり、就職しちゃうと足を洗っちゃうんですよね。」
「厳しい世界だからね。」
「オレはビッグになるけどね。」
1人はかなり威勢が良い。
「…あ、ひょっとして、ニンジンTVのヤマモリさん?」
メガネを掛けていたのに、気付かれてしまった。
「はい。そうです。」
「俺の母ちゃん、ニンジンTV良く見てるんスよ。」
「有り難うございます。」
「何かあったら使って下さい。雑用でも何でもやりますんで。これ、名刺ッス。」
お、営業してるな。と思いつつ名刺を受け取る。
「分かったわ。スタッフに話してみるね。」
笑顔で答えてその場を離れた。
後日。名刺を渡した彼がニンジンTVのアルバイトとして来る事になるんだけど、それはもう少し後の話。

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ヤマモリモナコと「Ega-Child」~前編~

ツマヌダ駅前に広場がある。
夜になるとダンサーが踊っていて、人数は5人位。
ブレイクダンスやヒップホップ、ハウスダンスのステップを練習しているようだ。
ニンジンTVのネタにならないかしら?と思って、今日は遠くからちょっと見てみる事にした。
21時頃になると彼らが集まって来る。
どうやら21時が集合時間らしい。
「じゃあ始める?」
と、1人が言うと、それぞれ軽いストレッチを始めた。
音楽が鳴り、1人が踊り始める。
おっ、あれはブレイクダンスかなあ。
頭のてっぺんを軸にして回っている。
が。
すぐそこで止めてしまう。
「ちょっと違うんだよなあ。」
なんてブツブツ言いながら休憩している。
別の人がまた踊り始める。
おお、また回ってる。
が。
すぐそこで止めてしまう。
何人もの人が10秒位ステップを踏むだけで、みんなで揃って踊る気配は全くない。
ぬるいな。
だめだこりゃ。
やる気なし。
そう言えば、ここを通る度に必ず見かけるけど、みんなで踊っているのを見た事が一度もない。

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